純文学の金字塔に挑戦 三島由紀夫 金閣寺

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金閣寺 (1956年)

自虐的なタイトルを付けてしまいましたがまさにその通りです。手を付けてから読了まで3カ月くらいかかりました。面白くて一気に読んでしまうタイプの小説ではなく、時間を見つけてコツコツと真剣に向き合う本でした。

隙のない文章

1ページ読むのに時間がかかります。本の厚みからもっと早く読み終わると思っていましたが甘かったです。多分毎日少しずつでも読み進めていればもっと早く読了できていたはずですが、なかなか読む気がしないというか…。体力があるときじゃないと読めない力を持っています。決して読みにくい訳ではないのに、ぎっしりとつまっている文章と、度々出てくる見慣れない仏教用語のおかげで辞書を片手に読まざるを得ないということもあり、気付けば3カ月経っていました。

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犯罪者の心理描写

作者は実際に放火したことがあるんじゃないかと思うくらい主人公の心理描写が上手です。いや僕も犯罪はしたことないので本当のところは分からないんですが、金閣寺を燃やすと決めてからの主人公の心理は、期日が明確に決まってないことを先延ばしにしたり、きっかけを他者に委ねてみたり、衝動的に動いてみたりと、何か僕にも身に覚えがあるような行動を取っています。別に犯罪じゃなくても、「やらなくてはいけないことじゃないけど自分がやろうと決めたこと」をいつやるか決めあぐねている人間の心理っていうのは誰しもこんな感じなのかなと思いました。

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濃いキャラクターたち

主人公の周り、特に大学入学後に登場する人物たちのダークな魅力がありました。柏木などはその代表で、主人公に多大なる影響を与えます。主人公が知り合った女性たちも、昔の作品ですがなんだか今でも現実にいそうなリアルなクセのある性格をした人たちばかりで、思わず自分の人生の中の経験を思い出したりしました。

まとめ

息つく暇もないような重厚な文章、やはり一筋縄ではいきませんでした。本をよく読む方ならもっとスラスラ読めるのかもしれませんが僕は時間がかかりました…。個人的には主人公が金閣寺への放火を決意してからは急に物語が面白くなった気がしました。それまで主人公の生い立ちや人生の描写を詳細に追っていたので、いつの間にか感情移入していたのかもしれません。最後は、これからどうなるんだろう…。という段階で終わらせており、その後の展開に思いを馳せてしまいました。

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